2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧
(原題:Elephant)ガス・ヴァン・サント監督がコロンバイン高校銃乱射事件にヒントを得て作り上げた2003年のカンヌ大賞受賞作だが、同じ少年犯罪を扱った岩井俊二の「リリイ・シュシュのすべて」と比べるとまるで物足りない出来だ。なぜなら、この作品…
何やら安手の韓流ドラマみたいな話である。まず過剰なほどのモノローグが鬱陶しい。微妙な内面の動きまで、滔々と主人公は声に出して伝えてくれる。少しは映像やら暗示やらで物語を綴ろうとするまっとうな努力ぐらいしてみろと言いたい。 次に、孤独な女子学…
(原題:Zamani Baraye Masti Asbha )2000年作品。イラクとの国境に近いクルド人の村を舞台に、親に先立たれた兄弟たちの苦難の日々を描く、世界初の「クルド人を主人公にしたクルド語の映画」で、監督はイランの新鋭バフマン・ゴバディ。本作によりカ…
(原題:300 )「シン・シティ」のフランク・ミラーによる劇画の映画化ということだが、ルドルフ・マテ監督による61年作品「スパルタ総攻撃」のリメイクのような印象である。同じ史実を題材にしているということだけではなく、似たようなシーンもあるし、…
95年作品。この映画が公開された当時、一連のオウム関連の事件について、既存の宗教関係者が新聞・雑誌などでコメントを寄せているのをよく目にしたが、内容としては“オウムは宗教の風上にも置けない過激集団だ”として切り捨てるものがけっこうあったよう…
(原題:Notes on a Scandal)実に不快だが、観る者をとらえて離さない、悪意に満ちた快作である。 舞台はロンドン郊外の中学校。気難しい皮肉屋で定年近くになっても伴侶に恵まれないオールドミスのベテラン教師の、奔放な新任の女教師に向ける暗い“欲望”を…
(原題:Se7en)新作「ゾディアック」が公開中の、デイヴィッド・フィンチャー監督が95年に撮った映画で、同監督の出世作でもある。作品でキリスト教における七つの大罪(大食、憤怒、嫉妬、高慢、肉欲、怠惰、強欲)に基づく連続殺人事件を追う二人の刑事…
(原題:The Prestige)面白くない。一番の理由は、こういうネタにまるで不似合いな“SF的トンデモ理論”が大きなプロットとして組み込まれているからだ。 クリストファー・プリーストの小説「奇術師」の映画化で、19世紀末のロンドンを舞台に、因縁深いラ…
(原題:The Reaping )テレビCMやポスターでは“イナゴ少女、現る”なんていう胡散臭い惹句が踊っていたが、残念ながら本作にはアンナソフィア・ロブ扮する“少女”がイナゴの大群を操って暴れまくるシーンなどない(笑)。物語の骨子は欧米製ホラーでよくあ…
(原題:Mrs. Doubtfire)93年作品。ロビン・ウィリアムズの“個人芸”を見る映画だ。それ以外の見所は皆無である。妻から三下り半を突き付けられた売れない俳優の主人公が、子供に会いたい一心で、女装してお手伝いさんとして元の家にもぐり込む、という設…
新潮社新書の中の一冊だ。こりゃヒドい本である。環境問題が声高に叫ばれている現状だが、その中に“非・科学的”な見方が蔓延しているのではないか・・・・といったことを科学知識で冷静に捉え直そうという意図は大いに良い。しかし、論旨は終始蛇行運転で要…
たぶん平山秀幸の監督作の中では一番出来が良い。巷では「OUT」や「愛を乞うひと」などのヘヴィな題材を扱った映画を撮っていることから、彼を重厚長大なドラマの作り手だと捉える向きもあるが、私はそれは間違っていると思う。平山の本領は「学校の怪談…
2001年製作。岩井俊二作品はテーマやアプローチによりはっきりと二つの系統に分けられるが、出来がいいのは「Love Letter」や「四月物語」などのハートウォーミング路線の作品であり、出来が悪いのは「PICNIC」や「スワロウテイル」など…
(原題:TSOTSI)アカデミー外国語映画賞を受賞したイギリス=南アフリカ合作で、その評価もダテではないと思わせる力のこもったシャシンだ。 ヨハネスブルグのスラム街に暮らす若者ツォツィ(プレスリー・チュエニヤハエ)は強盗グループのリーダーで、街の…
(原題:Crimson Tide)95年作品。ロシアで極右勢力が核基地を掌握。アメリカと日本に向けてのミサイル発射のスタンバイ体制についた。これに対しSLBM登載のアメリカ原潜アラバマが出撃。発射準備の指令が届くが、敵原潜と交戦状態となり、深く潜行し…
転校した女生徒と周囲とのコミュニケーションを題材としているあたり、どうしても市川準監督の劇場用映画デビュー作「BU・SU」を思い出さずには居られない。しかし出来は「BU・SU」よりも落ちる。理由は明らかで、素材として携帯電話を使用している…
何度か足を運んでいる福岡市のオーディオショップ「吉田苑」にて、FOSTEXのスピーカーG-1300を試聴した。FOSTEXは日本のメーカーで、歴史は結構古い。スピーカーを自作してしまうほどのコアなマニアの間では、スピーカーユニットの製造元として知られるし、…
(原題:Spider )2002年作品。精神を病んだ男が、母親の死についての記憶をたどっていくうち、意外な真実が浮かび上がっていくという怪異譚。デイヴィッド・クローネンバーグ監督作品としては「戦慄の絆」や「M・バタフライ」と同様“非・ドロドロ系”に…
(原題:Shooter )一見すれば脳天気なハリウッド製活劇編である。エチオピアでの軍事作戦中に幹部から最前線に置き去りにされ、戦友も失った元米海兵隊の凄腕スナイパーである主人公が、退役して隠遁生活を送っていたところ軍関係者からの“大統領狙撃計画が…
(原題:The House of The Spirits)93年ドイツ=デンマーク=ポルトガル合作。何と言っていいのだろう。確かに考えて作られており、存在感のある作品ではあるのだが、この居心地の悪さ。「ペレ」(87年)「愛の風景」(90年)でカンヌ映画祭2連勝の…
(原題:Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan)潔いほどの悪ふざけの連射に呆れつつも感心してしまう映画だ。大臣の特命を受けてカザフスタンからやってきたテレビリポーターのボラットが、頓珍漢な“文化…
2004年製作。実際に起きた事件を元に、大人に見捨てられた4人の幼い兄妹をめぐる悲劇を描いた是枝裕和監督作品。 「火垂るの墓」の低調な二番煎じという印象を持った。高畑勲と是枝裕和の違いは“世間”をちゃんと認識しているか否かである。私は「火垂る…