元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「告白、あるいは完璧な弁護」

(英題:CONFESSION)なかなか良くできた韓国製サスペンス劇だ。もっとも、本作は2016年製作のオリオル・パウロ監督によるスペイン映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」(私は未見)のリメイクなのだが、それでも最後まで飽きずに見せ切るだけのクォ…

「SLAP HAPPY」

96年作品。前項「オレンジ・ランプ」の監督である三原光尋は、他にも「風の王国」(92年)や「真夏のビタミン」(93年)などのハートウォーミングな作品を中心に手掛けているが、過去には本作のような胸くそが悪くなるようなシャシンも撮っている。も…

「オレンジ・ランプ」

多分に啓蒙的な内容であり、劇場で公開するよりも職場の人権研修などで流す方が相応しいと思った。しかしながら、紹介されている事実の数々はとても興味深くて参考になるものばかり。その意味では決して観て損はしない。また、語り口は丁寧で不快になるよう…

世界水泳を観戦した。

7月14日から福岡市博多区沖浜町にあるコンサートホール・コンベンションセンター、マリンメッセ福岡で開催された第20回世界水泳選手権大会に足を運んでみた。ただし、正直言って個人的にはこの競技にはあまり興味は無い。しかし、スポーツ好きの嫁御が…

「ザ・フラッシュ」

(原題:THE FLASH )八方破れの建て付けであり、映画の質としてはあまり上等とは言えない。しかし、随所に堪えられないチャームポイントが散りばめられており、決して嫌いにはなれないシャシンだ。特に、無駄に映画ファン歴が長い私のようなオッサンにとっ…

「ちひろさん」

2023年2月よりNetflixより配信。この主人公像にはまったく共感できないし、そもそも現実感が無い。しかしながら、最後まで退屈させずに見せきったのは、主演女優をはじめとしする各キャストの頑張りと、丁寧な演出の賜物である。積極的に支持で…

「ぼくたちの哲学教室」

(原題:YOUNG PLATO )作者が主張したかったテーマとは、おそらくは全く違う事柄に感心してしまった。鑑賞者の置かれた環境によっては、作品の狙いとは異なるモチーフが強い印象を与えることもあるのだ。ましてやこの映画はドキュメンタリーであり、観客に…

ジャニーズ事務所の“功績”について。

山下達郎が自身が所属するプロダクションを契約解除になった音楽プロデューサーの一件について、2023年7月9日オンエアのラジオ番組において、事の発端になったらしいジャニーズ事務所をめぐるスキャンダルを絡めてコメントしたところ“大炎上”の様相を…

「To Leslie トゥ・レスリー」

(原題:TO LESLIE )多分に“甘い”ところもある筋立てながら、最後まで惹き付けられたのは主人公の突出した造型と、絶妙な周囲のキャラクター配置、そして名人芸的な演出ゆえである。本国では単館上映から始まり、興行成績も大したことがなかった作品だが、…

「レコード芸術」誌が休刊。

クラシック音楽のCDやレコードの評論誌「レコード芸術」(音楽之友社)が、去る2023年6月20日発売の同年7月号をもって休刊した。同誌の創刊は1952年3月であり、70年あまりの歴史に幕を下したことになる。同社の説明では、休刊の理由は“近年…

「青いカフタンの仕立て屋」

(原題:LE BLEU DU CAFTAN )世評は高く、2022年の第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞している。しかし、個人的には評価できる点がまったく見出せず、鑑賞中はストレスが溜まるばかりだった。要するにこ…

「グッド・ナース」

(原題:THE GOOD NURSE)2022年10月よりNetflixより配信。物足りない出来のサスペンス編だと思ったが、後半で実際に起こった事件を元にしていることが分かり、何とも言えない気分で鑑賞を終えた。要するにこれは私が苦手とする“実話なんだから…

「ハマのドン」

これは実に興味深いドキュメンタリー映画だ。舞台になった地域の問題を超え、我々が直面している問題の実相と解決の処方箋を総体的に垣間見せてくれる点で、存在価値の高い作品と言える。また、一応は“主役”扱いになる人物をはじめ出てくるキャラクターがど…

「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

(原題:WOMEN TALKING )無理筋の舞台設定に整合性を欠く脚本、さらに冗長な展開と、見るべきものがあまり無いシャシンである。それにも関わらず、この作品が第95回アカデミー賞の脚色賞をはじめ各アワードを獲得している事実を前にすると、昨今は映画の…

「父の恋人」

(原題:SONS)89年作品。地味ながら、とても情感豊かな佳作だと思う。公開当時はほとんど話題にはならなかったはずだが、あまり予備知識がない状態でスクリーンで接した観客にとっては、思わぬ拾い物をした気分になったことだろう。また主役のサミュエル…

「怪物」

観終わって呆れた。第76回カンヌ国際映画祭にて脚本賞を獲得しているが、こんなヘタなシナリオでも“取り上げられた題材”によっては不必要に評価される世の中になったことに思い当たり、タメ息が出た。元より是枝裕和は出来不出来の幅が大きい映像作家だが…

「ホテル・ニューハンプシャー」

(原題:The Hotel New Hampshire )84年イギリス・カナダ・アメリカの合作。戦前から始まる一家族の物語を大河ドラマ風に描く映画なのだが、内容は変化球を利かせた異色作だ。雰囲気としてはジョージ・ロイ・ヒル監督の「ガープの世界」(82年)に似て…

「苦い涙」

(原題:PETER VON KANT)正直言って、面白いのか面白くないのかよく分からない映画だ。舞台劇のような意匠とキャラクターの濃さは確かに楽しめる。だが、ストーリー自体は大したことはない。作品の“外観”だけに着目すれば面白いのだが、それ以外はアピール…

「渇水」

ピンと来ない映画だ。題材自体は面白いと思う。だが、それが映画的興趣に結び付いていない。キャラクター設定は深みが無く、筋書きは絵空事。何かあると思わせて、実は何も提示出来ないというもどかしさが漂う。聞けば白石和彌が初プロデュースを手掛けた作…