元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

2012-01-01から1年間の記事一覧

勝手に選んだ2012年映画ベストテン。

2012年の個人的映画ベストテンを発表する。2012年は個人的事情により鑑賞本数が減り、全ての注目作をカバーしているとはとても言えないが、とりあえず10本は選ぶことが出来た。 日本映画の部 第一位 ヒミズ 第二位 希望の国 第三位 わが母の記 第…

最近購入したCD(その25)。

今年(2012年)はクロード・ドビュッシーの生誕150年に当たる。それを記念した新譜がいくつかリリースされたようだが、私が購入したのはピアノ曲の前奏曲集だ。第1巻と第2巻があるが、決して短い曲集ではないのでそれぞれ別のCDに収められている…

「007/スカイフォール」

(原題:SKYFALL )ダニエル・クレイグが主役を張った前2作よりもずっと面白い。もっとも、クレイグが昔のボンドみたいな軽妙洒脱でスマートな持ち味を発揮し始めたということでは全くなく、彼の愛嬌に欠けるゴツゴツとしたキャラクターはそのままだ。違う…

ortofonの真空管式アンプを試聴した。

ortofon(オルトフォン)の真空管式アンプを試聴することが出来た。同社はデンマークのオーディオメーカーで、特に良く知れられているのがアナログレコード用のカートリッジだ。ステレオ初期から本格的な製品を発表し、名機と呼ばれているものも多い…

「最終目的地」

(原題:The City of Your Final Destination)殊更ドラマティックな出来事もなく、展開は“ゆるい”とも感じるが、描かれるドラマは深いという玄妙な映画だ。ピーター・キャメロンの原作を得たジェイムズ・アイヴォリィ監督の、的確な仕事ぶりを久々に堪能で…

「戦慄の絆」

(原題:Dead Ringers)88年作品。カナダの鬼才デイヴィッド・クローネンバーグ監督の代表作だ。真紅の画面をバックに、さまざまな手術器具(ことに婦人科専用器具)のデッサンやさらには人体解剖図などが配置されたオープニングからヤバさ全開である。 同…

「グッモーエビアン!」

劇中で登場人物たちがつぶやく“ロックだねぇ”というセリフとは裏腹に、この映画は全然ロックしていない。別に“映画というのは常にロックしなければならない”というわけでもないが(笑)、本作においてはこの“ロックしている”というフレーズが物語のキーにな…

「たそがれ清兵衛」

2002年作品。後に「隠し剣 鬼の爪」(2004年)「武士の一分」(2006年)へと続く、山田洋次監督による時代劇シリーズの第一作にして最良作だ。 山田監督は時代ものを手掛けてもテーマの扱い方は少しも変わらない。本作では藤沢周平の短編「たそ…

「みんなで一緒に暮らしたら」

(原題:Et si on vivait tous ensemble?)一人きり、または夫婦だけで老後を迎えるより、気の置けない仲間が集まって共同生活を営んだ方が幸せかもしれないというアイデアに基づいて出来た筋書きだが、当然のことながら事はスンナリと運ばない。いくら気心…

「アラジン」

(原題:Aladdin )92年のディズニー製アニメーション。結論から先に言うと、この一つ前のディズニー作品である「美女と野獣」に比べて、本作はレベルダウンしている。・・・・ということを書くと、いろいろ批判もあるだろう。第一、同じディズニー作品と…

JBLのハイエンドスピーカーを試聴した。

米国JBL社の新作スピーカーDD67000の試聴会に足を運んでみた。本機の価格は1本が300万円(税抜き)で、ペアでは600万円。当然のことながら私は買えないし、図体のデカさも考え合わせるとほとんどの一般ピープルにとって縁の無い商品だ。し…

「思秋期」

(原題:TYRANNOSAUR )不器用な中年男女が知り合い、互いに癒やされ、心の硬い殻が少しずつ解れていくというヒューマンドラマ風の設定ながら、キャラクター造型の甘さが感銘度をかなり薄めている。俳優として知られるパディ・コンシダインの劇場用映画の監…

「オルランド」

(原題:Orlando)92年作品。16世紀のイギリス、エリザベス女王から“決して老いてはならぬ”と言われ、その通りに年を取ることなく永遠の時を生きる青年貴族オルランド。ロシアの王族の娘との恋に破れ、詩作に没頭する生活を経て、次の世紀には戦乱の世に…

「任侠ヘルパー」

テレビドラマの劇場版で、主役はSMAPのメンバー。観る前は何とも軟派な印象を受けてしまうシャシンだが、これがどうして、実に重いテーマを扱っていて見応えがある。先入観だけで断定するのは禁物だと改めて思ったものだ(笑)。 極道あがりの翼彦一は堅…

「バッファロー’66」

(原題:Buffalo'66)98年作品。1966年生まれでニューヨーク州バッファロー出身の主人公は5年間の服役を終えて出所するが、実は他人の罪を被ったおかげで臭い飯を食うことになってしまったのだ。復讐を誓う彼だが、その前に刑務所に入っていたことを…

「人生の特等席」

(原題:Trouble with the Curve)余計なエピソードや消化不良のプロットも目立つのだが、後味の良い佳作であることは間違いない。なぜならストーリー自体が(ベタな書き方で恐縮だが ^^;)“約束通り”であるからだ。ハートウォーミングな筋書きを求めて映画…

「恋人たちのアパルトマン」

(原題:Fanfan)93年フランス作品。夢想家のアレクサンドルと奔放な女の子ファンファンとの恋のさやあてを描く。監督は小説家として知られ、本作が初の映画となる1965年生まれのアレクサンドル・ジャルダン。 観る者を感動させるような秀作でもなく、…

「情熱のピアニズム」

(原題:MICHEL PETRUCCIANI/BODY & SOUL )ドキュメンタリー映画としては正攻法の作りで、送り手によるいわゆる“作家性”等とはほぼ無縁の作品だ。しかし、本作に関してはそのことが何ら欠点にならない。描くべき対象が屹立した存在感を保持している場合、…

長谷川三千子「民主主義とは何なのか」

民主主義が絶対的正義であるかのような風潮に真っ向から異を唱えた本(2001年発刊)。哲学の教授でもある作者の長谷川は、小説家・野上弥生子の孫に当たる。 近代民主主義の原点となった「人権宣言」を生み出したフランス革命において、民主主義の名のも…

「綱引いちゃった!」

綱引きを題材にしたスポ根ものだが、驚いたことに肝心の試合のシーンが少ない。中盤の小学生チームとの練習試合と、ラストの本大会の一回戦、これだけだ。しかし、そのことが決して作品の欠点になっておらず、結果として満足出来る映画に仕上がっているのだ…

「希望の国」

欠点は多いが、送り手の切迫した問題提起から目が離せない映画だ。舞台は近未来の架空の県だが、これは明らかに先の震災による原発事故が発生した場所である。事件の当事国でありながら、題材に対して及び腰でマトモに向き合えない邦画界に対する痛烈な一撃…

「大誘拐 RAINBOW KIDS」

91年作品。少年院あがりの3人の若者(風間トオル、内田勝康、西川弘志)が思い付いたのは、和歌山県の山奥に住む大富豪の老婆(北林谷栄)を誘拐して、身代金を取ろうという計画だった。犯行は成功。しかし、老婆は反対に若者たちのイニシアティブをとっ…

「北のカナリアたち」

阪本順治監督をはじめとする作り手が主演の吉永小百合に対して“遠慮”しているような、まるで煮え切らない映画だ。そもそも吉永扮する元女教師がいったいどういうキャラクターの持ち主なのか、全然描けていない。 東京で図書館の司書をしている川島はる(吉永…

「シザーハンズ」

(原題:EDWARD SCISSORHANDS )90年作品。終始居心地の悪さにイライラしっぱなしだった。この頃のティム・バートン監督はやっぱりどこか“変”である。その“変”というのは、もちろん映像感覚がフツーではないということもあるが、同じ“変”な映画作家である…

「アルゴ」

(原題:ARGO)実に面白いサスペンス劇だが、拭いきれない違和感があることも事実である。79年11月、イラン革命の最中にイスラム法学校の学生らがアメリカ大使館を占拠。52人が人質となる。その直前に大使館員の6名が脱出し、カナダ大使の自宅に身を…

MARANTZのプリメインアンプを試聴した。

MARANTZのプリメインアンプPM-11S3とCDプレーヤーのSA-11S3の試聴会に足を運んでみた。MARANTZは元々は1953年に創設されたアメリカのメーカーだったが、それから紆余曲折があり、今では日本のブランドになっている。DE…

「桃(タオ)さんのしあわせ」

(原題:桃姐)監督アン・ホイの円熟味を感じさせる一作。誰にでも訪れる老いと死。最期の時を迎えるにあたって、本当に必要なものは何なのか。黒澤明の「生きる」の主人公のように、ミッションを全うすべく前のめりになって倒れるというヒロイックな幕切れ…

Sonus faberの新作スピーカーを試聴した。

イタリアのスピーカーメーカーSonus faber(ソナス・ファベール)の新作Venere1.5とVenere2.5を試聴することが出来た。Sonus faberは80年に発足し、工芸品のような美しいデザインと肉感的で艶やかなサウンドにより…

「アウトレイジ ビヨンド」

単調な映画だ。関東を根城にする大手暴力団・山王会は、5年前のクーデター騒ぎを経て、会長が交代した後は政界にまで手を伸ばそうかという勢いを誇示するようになる。悪徳刑事の片岡は、暴力団壊滅を図るため山王会と関西の巨大ファミリーである花菱会とを…

北九州市のAVフェアのリポート。

去る11月9日(金)~11日(日)に、北九州市小倉北区のJR小倉駅近くのKMMビルで今年も開催されたオーディオ&ヴィジュアルフェア(今年で26回になる)に足を運んでみた。春に福岡市で行われているフェアと同じく、オーディオ評論家の福田雅光の…