2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
(原題:ENGLISH VINGLISH)これは面白い。ヒロインの成長物語を、インド製娯楽映画にありがちな“大雑把な作劇”を廃し、観る者の共感を呼べるように丁寧に仕上げている。しかも、ちゃんとインド映画のツボを押さえたエンタテインメント性も確保されており、…
89年作品。バブル全盛期に作られたせいか、まさに軽佻浮薄を絵に描いたようシャシンで、内容も評価出来る部分は全く無い。しかしながら、今から思い返すとこういう映画が堂々と拡大公開されていた“時代の空気”みたいなものを感じ、苦笑してしまう。 主人公…
(原題:THE LUNCHBOX)脚本がダメだ。ラストに至っては話が空中分解している。通常のインド製娯楽映画のルーティンを踏襲していないので上映時間が(インド映画にしては)短いが、それだけ対象をじっくりと扱う手間暇を惜しんだと思われても仕方が無い。 ム…
(原題:Crossroads)86年作品。音楽にさほど興味の無い観客からすれば、まるで存在価値を見出せない映画。しかも、特定のジャンル(ここではブルース)に精通していないと面白味がなく、単なる“珍品”として片付けられても仕方が無い作品。反面、ツボにハ…
(原題:Tjorven, Batsman och Moses)随分とレトロな作りだと思ったら、1964年製作の映画だった。どうして今頃公開するのか分からない。しかも、丁寧に作られているとはいえ、内容は完全に子供向け。ミニシアターでやるようなシャシンではないだろう。…
71年イタリア生まれのピアニスト、ロベルト・オルサーを中心としたトリオによる新作「ステッピン・アウト」は、実に美しいアルバムだ。ジャズのカテゴリーに入るサウンドなのだが、しっかりとしたクラシックの素養を感じさせ、格調の高い音世界を展開させ…
若い登場人物達の微妙な内面の動きを巧みに掬い取った演出により、見応えのある映画に仕上がった。このインパクトがあるタイトルは、監督の弁によると相手のちょっとした“裏切り”によって自己の存在を完全否定され、簡単に文字通り“こっぱみじん”な気分にな…
(原題:Vozrashchenie )2003年作品。第60回ヴェネツィア国際映画祭の大賞を獲得した珠玉のロシア映画。12年ぶりに帰ってきた父親と十代の息子たちとの葛藤を、痺れるほどに美しく、かつ厳しい大自然を背景に描く。 アンドレイとイワンの兄弟は、ロ…
(原題:CHILDREN OF THE REVOLUTION)丁寧に作られたドキュメンタリー映画だとは思うが、題材とアプローチ自体が一般ピープルの価値観と相容れないものであり、どう頑張っても高い評価は得られない。あえて言ってしまえば、この素材を現時点でも取り上げる…
「avec mon mari」などの大谷健太郎監督が2001年に撮った作品。かなり楽しめる。いわゆる“原作もの”ではなく、オリジナル脚本でこれだけのレベルに持って行った作者の力量にも感心した。 麻美と里奈の姉妹は共にプロの将棋指しで、同じ名人戦…
(原題:Sunshine on Leith )物足りない出来だ。何よりストーリーが面白くない。もちろんミュージカル映画だから筋書きが緻密なものである必要はないのだが、地に足が付かないような実体感の無いドラマ運びには閉口するしかない。 スコットランドの田舎町リ…
2014年7月9日、高級オーディオメーカーとして知られた山水電気が破産手続きを開始し、完全消滅した形になった。とはいえ同社は90年代には業界の第一線から退いており、ブランド名が残っていただけで、このニュースを聞いても今さら何の感慨も無い。 …
(原題:Attila Marcel )とても感銘を受けた。ジャコ・ヴァン・ドルマル監督による傑作「トト・ザ・ヒーロー」(91年)と似た構成の映画だが、あちらが余命幾ばくも無い主人公の悔恨の念と人生に対する“和解”を切々と描いていたのに対し、こちらは不遇を…
福岡市早良区百道浜にある福岡市博物館で開催されていた、特別展「軍師官兵衛」に行ってみた。もちろん主催はNHK福岡放送局で、大河ドラマ「軍師官兵衛」の便乗企画である(笑)。夏休み期間中でもあり入場客は多く(特に家族連れ)、なかなかの盛況ぶり…
これは良い映画だ。元々はテレビのドキュメンタリーなのだが、素材に対する粘り強い取り組みが可能になったのはテレビの特性によるところが大きい。そして、それを映画にしてまとめ上げた作者の真摯な姿勢と手腕に感心する。いわばテレビと映画のメディアと…
(原題:John Q)2002年作品。ヌルい映画である。要するに“アメリカの医療保険はロクなもんじゃねぇ!”ということを言いたいだけ。何でも米国では約五千万人もの国民が医療保険に加入できず、たとえ入れたとしても一般ピープルは貧弱な内容に甘んじなけ…
(原題:Godzilla)98年に作られたローランド・エメリッヒ監督版よりもかなりマシな仕上がりで、観ている間は退屈しない。しかし、設定や作劇に不十分な箇所も目立つことから、諸手を挙げての高評価は差し控えていただく。 筋書きにおいて一番驚いたのが、…
(原題:La Guerre du feu)81年製作のフランス=カナダ合作映画。舞台は旧石器時代。ある種族が先祖代々引き継いできた火が消えてしまう。彼らは火を作り出す手段を持っていなかった。村の青年たちは失われた火を探すべく、長く苦しい旅に出る。 1時間4…
(原題:Edge of Tomorrow)観ている間は退屈せず、鑑賞後はきれいサッパリ忘れることが出来るという、肩の凝らない娯楽映画の見本みたいなシャシンだ(まあ、本当に忘れてしまったら感想を書けないのだが、それはさておき・・・・ ^^;)。主演のトム・クル…
去る8月1日に福岡市中央区の大濠公園で恒例の花火大会が開催された。前年も行ったので今年は見る必要は無いと思っていたが、いつの間にか職場の連中と共に会場の近くまで来てしまった(笑)。 当日は朝から雨で、花火大会が始まる時間帯も小雨がぱらついて…
題名とは裏腹に、まったく展開が“高速”ではない映画だ。もちろん速いテンポで演出すればすべてOKということでもないが、タイトルとは正反対の“鈍足”では評価はとても出来ない。 8代将軍吉宗の時代。東北の小藩である湯長谷藩の一行は参勤交代を終え、久々…