元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「グッバイ・クルエル・ワールド」

これはちょっとヒド過ぎる。まったく映画になっていない。まさにタイトル通り早々に“グッバイ”したくなるようなシャシンだ。監督の大森立嗣は出来不出来の幅がある作家だが、今回の仕事ぶりは下から数えた方が早い。ネット上では“寝たという声が多かった”と…

「ブレット・トレイン」

(原題:BULLET TRAIN)本作で一番興味を惹かれたのは、原作が伊坂幸太郎の「マリアビートル」である点だ。伊坂の小説は過去に国内で何回も映画化されてきたが、真に満足できるものは一本も無かった。作り手の力量がイマイチである点が大きいのだが、それ以…

「タップス」

(原題:TAPS)81年作品。アメリカ映画界では、70年代末からベトナム戦争に題材を求めたものが目立ってきた。当然のことながら、それらは反戦のメッセージを伴っていたり、国家と戦争、および個人の関係性をシビアに捉えたものばかりである。本作はベト…

「この子は邪悪」

開巻数十分までは面白くなりそうな雰囲気は醸し出していた。だが、ドラマの概要が見え始めると次第に鑑賞意欲が減退。後半になるとストーリーの迷走が止まらず、終盤は観客を無視したような処理が罷り通り、呆れ果てて劇場を後にした。このシャシンがオリジ…

加藤陽子「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」

筆者の加藤は、2020年に日本学術会議の新会員候補に推薦されたが、他の5名の候補と共に当時の菅義偉総理によって任命を拒否されたことで知られる。本書を読むと、その理由が分かるような気がするのだ。これは何も彼女が研究者として資質が劣っていると…

「NOPE/ノープ」

(原題:NOPE)ジョーダン・ピール監督はM・ナイト・シャマランの“後継者”になるのではないかと思った。しかし、出世作「シックス・センス」(99年)以外は芳しい結果を残せずにキワモノとしての評価が先行するようになったシャマランとは違い、最低限の…

「Zola ゾラ」

(原題:ZOLA)86分という短い尺ながら、恐ろしく長く感じられる。面白くも何ともない映画。断じてカネ取って劇場で見せるようなシロモノではない。ハッキリ言ってしまえば、途中退場しても少しも後悔しない内容だ。とはいえ、聞くところによると評論家筋…

「あの頃。」

2020年作品。最近の邦画界では安定したレベルを維持していて信頼のブランドと思われていた今泉力哉監督作だが、この映画に限ってはどうにも受け付けられない。題材自体ピンと来ないし、筋書きはどうでもいいし、各キャラクターにも共感できない。ごく狭…

「サバカン SABAKAN」

子供を主人公にした一夏の“冒険”を描いた映画は、過去にも秀作・佳作が目白押しだ。それだけ普遍性が高い鉄板の設定ということだが、本作はとても及第点には達していない。違和感なく物語を綴るだけのシナリオが出来ておらず、無理な展開が目立つ。筋書きは…

「キングメーカー 大統領を作った男」

(英題:KINGMAKER )見応えのある実録ポリティカルサスペンスで、この手のシャシンを作らせると韓国映画は無類の強さを発揮する。取り上げた題材といい、キャストの動かし方といい、苦みの効いた筋書きといい、すべてが及第点。また登場人物たちの言動を追…

「グレイマン」

(原題:THE GRAY MAN)2022年7月よりNetflixにて配信されているが、私は劇場公開されたものを鑑賞した。このコンテンツ製作会社のオリジナル作品としては最高金額を投入しただけあって、大作感は見事に出ている。スパイ・アクションとしても現…

「ハウ」

観終わって印象に残ったのは、本作の“主人公”であるハウに扮した俳優犬ベックの“名演技”と、ヒロイン役の池田エライザの美脚のみ(笑)。それ以外はどうでもいい映画だ。とにかく、筋立てが良くない。辻褄の合わないシークエンスが目立ち、ドラマの決着の付…

「マドンナのスーザンを探して」

(原題:Desperately Seeking Susan )85年作品。マドンナが大ヒットアルバム「ライク・ア・ヴァージン」を発表して人気絶頂だった頃の出演作だが、邦題とは違って彼女は助演クラス。出番もそう多くはない。中身も時代を感じさせるもので、今から考えると…

「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」

(原題:JURASSIC WORLD: DOMINION)概ね納得できる内容だと思う。もちろん、突っ込みどころは多々あり、ウェルメイドな出来とは言えないだろう。しかし、長きに渡って続いたこのシリーズの完結編としては容認できる。今までの辻褄をすべて合わせようとすれ…

「アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台」

(原題:UN TRIOMPHE )題材は面白そうなのだが、困ったことに似たようなネタを採用した作品にヴィットリオ&パオロ・タヴィアーニ兄弟監督による「塀の中のジュリアス・シーザー」(2012年)という突出した前例があり、それに比べれば本作はかなり見劣…

「長崎の郵便配達」

肌触りの良い映画で、反戦平和のメッセージも頷けるのだが、困ったことに(?)私が本作を観て一番印象に残ったのは長崎の町並みである。前にも書いたが、私は福岡県出身ながら子供の頃から転勤族だった親に連れられて各地を転々としている。長崎市は幼少時…

「フォクシー・レディ」

(原題:FOXES )80年作品。ハッキリ言って映画の質としては大したことはないのだが、興味深いキャスティングとスタイリッシュな映像で飽きさせずに最後まで見せてしまう。また、青春映画のスタイルが従来(70年代まで)とは変わっていく様態を目撃でき…