2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
(原題:Moneyball )醒めているようで実は熱く、一歩引いているように見えて実は肉迫しているという、主人公の野球に対する絶妙の距離感が強い印象を残す辛口のドラマだ。野球好きならば思わず身を乗り出し、そうじゃない者でも引きつけられる、見応えのあ…
実録怪談の名手とされる平山による短編集で、私は彼の小説を読むのは初めてだ。宝島社が選出する「このミステリーがすごい!」の第一位を獲得していて、しかも2006年度日本推理作家協会賞の受賞作ということで少しは期待したのだが、まったくのハズレだ…
園子温監督の前作「冷たい熱帯魚」ほどの破壊力はないが、それなりに楽しめる映画であることは確かだ。カタギの生活を送っていた女がインモラルな“裏の顔”を持つようになるという設定は、ルイス・ブニュエル監督の「昼顔」やリチャード・ブルックス監督の「…
(原題:Hot Shots! Part Duex)93年作品。湾岸戦争下のペルシャ湾を舞台に展開する、おふざけフィルムのシリーズ第2作。観る前にある程度予想はしていたものの、これほどおマヌケな映画とは思わなかった(爆)。前回が「トップガン」のパロディだったの…
作り方を間違えている映画である。序盤、妊娠9ヶ月のヒロイン・光子が新たに越してきた隣人に対して傍若無人に振る舞って絶句させたり、尋ねてきた運送屋に過度に馴れ馴れしい態度で接してドン引きされる場面まではいい。世間の常識からズレている主人公と…
コーエン兄弟による映画「ノーカントリー」を思わせる重量級のクライム・サスペンスである。ヤバい品物を運んで生計を立てている中年男のハントは、ある日受け渡しの現場を地元の保安官補ドレイクに発見されてしまう。何とかその場は逃げおおせたが、依頼元…
(原題:Les Rivieres Pourpres )2000年作品。アルプス山中で発見された変死体をめぐって、パリから派遣されたベテラン刑事と地元の所轄の若手刑事とが共同で犯人を追い掛けるサスペンス編。 フランス映画にしては金はかかっていることは分かるが、思い…
(原題:Fair Game )映画の出来よりも、描かれる内容そのものが衝撃的な作品だ。イラク戦争前夜の情報戦を描く本作、開戦の大義名分であったはずの“イラクによる大量破壊兵器の保有”がデッチ上げであったことを、CIA側はとうの昔に知っていて、さらには…
(原題:East Is East)99年作品。70年代のマンチェスターを舞台に、パキスタン人の父とイギリス人の母を中心にした家庭を描く。 当然、カルチャー・ギャップをネタにしたエピソードが満載で、それなりに納得はできるものの、どうも面白くない。監督ダミ…
(原題:SOURCE CODE )ダンカン・ジョーンズ監督のセンスが活きたSF映画だ。前作「月に囚われた男」は荒唐無稽な設定を描いているようでいて、作品の焦点は見事にヒューマニズムに振られていた。本作も同様で、活劇の要素が多い筋書きの中に作者の主人公…
2001年作品。カルト教団が引き起こした殺人事件の、加害者家族を描く是枝裕和監督作。たぶん同監督が手掛けた映画の中では一番出来が悪い。 是枝は何かのインタビューで“彼ら(カルト教団)を生み出したのは間違いなく私たちの社会であり、その意味では…
(原題:WINTER'S BONE )作劇面ではとても万全とは言えないが、作品の舞台設定と主演女優の存在感により何とか見応えのある映画に仕上がったという感じだ。 ミズーリ州の貧しい山村に住む17歳のリーは、心を閉ざして口もきかない母と幼い弟妹の面倒を見な…
当イベントにおけるピュア・オーディオ機器の展示は、正直言ってあまり目を引くものがなかった。同じ主宰者が春に福岡市で開催するフェアと比べると随分と小規模であることがその理由かと思うが、規模が小さいがゆえに参加者個人のリクエストを受け入れてし…
去る11月11日(金)~13日(日)に、北九州市小倉北区のJR小倉駅の近くにあるKMMビルで例年どおり開催されたオーディオ&ヴィジュアルフェアに、今年も行ってみた。ただし、今回は昨年のような“講師を招いての試聴会”は開催されずに普通の展示会…
中途半端な内容で、まったく評価できない。元ネタは74年~75年に放送されたTV特撮ドラマだが、私自身は何回か放映を目にした記憶はあるものの、思い入れは一切ない。だから劇場に詰めかけた“往年の特撮ヒーロー物のファン”とは違って一歩も二歩も引い…
(原題:Lorenzo's Oil )92年作品。この映画は“死病もの”である。このテーマが観客を引き付ける理由は“死んでいく主人公がかわいそうだ”ということに尽きると思う。その場合、観客側が健康体であることが大前提となる。つまり、主人公の悲惨な運命に同情…
2000年製作の成人映画だ(大蔵映画)。ガンを宣告され、怖くなって家を飛び出した中年男が、偶然売れないアイドル歌手と出会って互いの境遇を話し合ううちに生きる希望を取り戻すという、出来過ぎな話をコメディタッチで綴る国沢実監督作品。 これがけっ…
(原題:Cowboys & Aliens)突っ込みどころは満載だが、妙に憎めない映画だ(笑)。これはやはり、西部劇とSFとのコラボレーションというアイデアがモノを言っているのだろう。穴だらけの作劇も、西部の荒野を吹き渡る砂塵をバックに展開すると許してしま…
(原題:Billy Elliot)2000年作品。80年代半ば、ストライキに揺れるイングランド北部の炭坑町。11歳のビリーがバレエに興味を持ち、苦しい境遇を乗り越えてプロのダンサーとして歩み出すまでを描いたスティーヴン・ダルドリー監督作。公開当時はか…
面白い。石井克人監督の吹っ切れた様子が垣間見える。CM業界出身者らしく、彼の「鮫肌男と桃尻女」や「PARTY7」といった当初の作品における“見かけ上の面白さ”は格別だった。ところが観る側がその映像ギミックに慣れてしまうと、あとは完全にネタ切…
若いOLの惨殺事件が起こって世間は大騒ぎしている頃、ひとりの記憶喪失の男が病院で“治療”と称してこの事件の報告書や新聞記事などのマスコミ報道などを読まされてゆく。どうやら彼はこの事件に関与しているらしいのだが、文書を読めば読むほど謎が深まっ…