2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧
(原題:Atonement )凝った仕掛けに賛否両論別れそうな映画だ。私はというと、エクステリアの見事さと俳優陣の着実な仕事ぶりには感心させられるので悪い評価は与えたくはないが、さりとて諸手を挙げて褒め上げることも出来ないといった、微妙な立場を取る…
なかなか面白く読めた。何より、警察小説としては切り口が斬新だ。主人公の竜崎伸也は40代の警察庁キャリア。ひょんなことから現職警官が手を染めていると思われる連続殺人事件に関わり、事態の収拾に奔走する様子を描く。 通常このような設定だと、事件を…
(原題:Breach)見応えはあるが、欠点も目立つ。国家機密を20年以上ソ連に漏らし続けたFBIのベテラン管理職と、彼を探るために部下として投入された若い捜査官との心理戦を描く、事実に基づいたサスペンス編だ。 一番納得できないのは、長きにわたって…
(英題:Oasis )2002年韓国作品。監督・脚本は「ペパーミント・キャンディー」のイ・チャンドンで、その年のヴェネツィア国際映画祭で監督賞と新人賞(ムン・ソリ)を受賞している。 健常者と障害者との恋愛というテーマ以前に、落伍者にはとことん冷た…
(原題:Michael Clayton )かなり“薄味”の映画だ。それはジョージ・クルーニーの“カッコつけ”のために作られた(らしい)ことが大きいと思う。 クルーニー扮する中堅弁護士は、若い頃には理想を掲げて法曹界に入ったものの、妥協と御為ごかしがはびこる現場…
この催しにはヴィジュアル部門の展示もある。ハイヴィジョン用ディスクの規格がブルーレイに統一されたせいか、以前のイベントならばNHKのハイヴィジョン放映を録画したものなどを流していたのが、今回は市販ディスクを採用してのデモばかりだ。すでにア…
オーディオシステムの音の方向性を決定するのはスピーカーなので、今回のイベントでも主な興味の対象はスピーカーだった。嬉しかったのは、米国JBL社の往年の名器である「Paragon」の音を聴けたことだ。今まで写真でしか見たことがなかったのだが…
去る4月11日から13日にわたって福岡市の福岡国際会議場で開催された「第5回九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきたのでリポートしたい。今回は例年になくメーカーや販社のスタッフが多かったように思われ、それぞれが扱う商品のアピールに余念…
2002年作品。72年に実際に起こった連合赤軍によるあさま山荘事件を題材に、その顛末を警察の側から描き出した群像ドラマ。通常のフィルム撮りではないので(デジカム使用)画面が少々汚いのはマイナスだが、映画自体は非常に面白い。何よりドラマを“警…
2001年作品。前の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」の感想文の中で紹介した映画だが、間違いなく「実録・連合赤軍」よりは数段ヴォルテージが高い。高橋伴明監督の最良作であるばかりではなく、21世紀初頭を飾るエポックメイキングなシャ…
(原題:Carne )91年作品。「カルネ」とは馬肉の意味。パリの下町。肉屋のオヤジが13歳の娘に抱く変質的な愛を描く上映時間40分のカルト・シネマ。後に「カノン」や「アレックス」といった怪作を連発するギャスパー・ノエ監督のデビュー作だ。本国フ…
タイトル通り“実録的”に経緯を追っただけの映画だ。監督の若松孝二は原田眞人監督の「突入せよ!『あさま山荘』事件」(02年)を観て“山荘の内側の若者のことを何も描いていない。表現をする人間は、権力側から描いたらダメだ!”と憤り、そこでこの映画の…
(原題:Do The Right Thing)89年作品。スパイク・リー監督の出世作にして最良作。ある暑い夏の日、舞台はブルックリンの黒人街の一角で、DJ一人でやっているラジオ局とダニー・アイエロ演じるイタリア人が経営するピザ屋、その向かいに韓国人夫婦の食…
あまり面白くはない。実績のある女子高生合唱部とヤンキー学校合唱部との対決をコメディタッチで描き、ちょうど「スウィングガールズ」のようなスポ根じみた音楽映画を撮りあげようとしたみたいだが、見事にハズしている。その理由は明白で、この手のドラマ…
(原題:The Age of Innocence)93年作品。これは珍しい19世紀の“アメリカ貴族階級”を描くイーデス・ウォートンの大河小説をマーティン・スコセッシ監督が映画化した。1870年ニューヨーク。ヨーロッパのそれと変わらない保守的な上流階級の社交界が…
観ている間はまあまあ退屈しないので、ヒマ潰しに映画館に足を運ぶ分にはいいが、マジメに対峙しようとするとバカを見る。 そもそも伊坂幸太郎の原作が連作短編集であり、これは一本の映画にするよりも、何回かに分けてのテレビドラマ放映(ミニ・シリーズ化…
95年作品。福岡市をモデルにした架空の町・玄海市が舞台。高校生の真魚(青木伸輔)はある日飛び込み選手の泉(小嶺麗奈)と知り合い、惹かれる。競技会で高飛び込みに失敗して死ぬ一歩手前までいった泉が目覚めたとき、目に見える世界は今までと違った様…
(原題:Penelope)主演女優クリスティーナ・リッチに尽きる。先祖が魔女にかけられた呪いのせいで、生まれた時から豚のような鼻を持っている良家の子女に扮しているが、鼻が豚でも可愛いのは(絶妙のメイクアップもさることながら)彼女の役柄のキャラクタ…
(英題:Bombey)95年作品。私が初めて観た本格的なインド製娯楽映画であり、出来の方もかなりの上級クラスである。親の反対を押し切って結婚した回教徒の娘とヒンズー教徒の青年。駆け落ち先のボンベイで双子の息子をもうけて幸せに暮らす二人だが、折し…
(原題:MY BLUEBERRY NIGHTS )ウォン・カーウァイはアメリカを舞台に“仕切り直し”でもするつもりだろうか。国際映画祭で話題になった「ブエノスアイレス」をはじめ、「花様年華」「2046」と、彼の近作はまったく面白くない。この作家の才気が強く印象…
(原題:在那河畔青草青)台湾の(かつての)名匠・侯孝賢の初期作品で、82年製作。山沿いの小学校に赴任してきた若い先生(ケニー・ビー)と子供たちの触れ合いを中心に、そこに住む人々のさまざまな生き方をスケッチ風に描く。 冒頭、登校する子供たちが…
少なくとも、退屈はしない映画だと思う。30歳前後である主要登場人物の、青春時代の幕引きを軽妙なタッチで描くという触れ込みのコメディだが、ひょっとしたら映画のテーマが“青春の終わり”だと思っているのは作者とキャストだけかもしれない。 よく考える…
(原題:The Green Mile)99年作品。不思議な力を持つ黒人の死刑囚と、彼と心を通わせる看守の姿を描いたヒューマン・ドラマ。スティーヴン・キングの同名小説の映画化で、その年のアカデミー作品賞にノミネートされている。 公開当時は評判になった映画だ…