2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧
要領を得ない出来で、良い印象は受けない。高井有一による原作は読んでいないが、以前田中慎弥の小説「共喰い」を低レベルの脚色によって失敗作に終わらせた荒井晴彦は、ここでも似たような過ちを犯しているようだ。 大戦も終わりに近付いた昭和20年の夏。…
(原題:White Night )85年アメリカ作品。テイラー・ハックフォード監督作の中では「愛と青春の旅立ち」(82年)に次ぐ出来だ。キャストの頑張りはもちろん、冷戦末期にあった当時の世界情勢を振り返る意味でも興味深い内容である。 ロンドンから東京に…
原田眞人監督の代表作「金融腐蝕列島 呪縛」(99年)と似たスタイルの映画だ。つまり、必要以上にカメラは登場人物に“没入”せず、各シークエンスはリズミカルに繋がれるといった手法が採用されている。一見ドライに思えるが、決して内容をデジタル的に割り…
昭和34年作品。別に深い内容があるシャシンではないが、ノリまくる演出と豪華キャストの揃い踏みで楽しく鑑賞できる。ベストセラー作家山崎豊子の原作を得て、贅沢なスタッフを集めて製作された文芸大作。当時の大映の絶大な力が垣間見える。 昭和初期、船…
(原題:Jurassic World)第一作のようなインパクトを求めるのは間違いだ。あれは“誰もやらなかったこと”を最初にやったから評価が高かったのであって、あらゆるメディアに恐竜のCGが氾濫している昨今、映像だけで驚かせるのは無理がある。だからそのあた…
99年作品。殊更持ち上げるような作品ではないが、少なくとも観ている間は退屈しない。ヒマ潰しにテレビ画面で眺めるのには適当なシャシンだろう。松岡圭祐の同名小説の映画化だが、内容は大きく異なっており、まったくの別物だと思って良い。 都内で“奇妙…
ドキュメンタリー映画としては力作であり、扱われているテーマも重要性が高いとは思うが、いまひとつ求心力に欠ける出来だ。アプローチの仕方および題材に対する視点が、本来映画として盛り上がるべきポイントを微妙に外しているように感じる。その背景には“…
(原題:A Midsummer Night's Dream )何度も映画化されているウィリアム・シェイクスピアの古典喜劇だが、ここで取り上げるのは99年にアメリカで製作されたもの。原作での舞台はギリシアであったが、本作では19世紀のイタリアに変更されている。そのた…
(原題:共犯 Partners in Crime)以前観た「ソロモンの偽証」と似たような設定の台湾製ドラマだが、こっちの方が面白い。しかもあの映画みたいに無駄に合計4時間も引っ張ることなく、1時間半でキッチリとまとめている点も見上げたものだ。多少プロットに…
先日購入したCDプレーヤーのONKYOのC-7000RとDACのNmodeのX-DU1は、同軸デジタルケーブルと光ケーブルの両方で接続が出来るが、まずは同軸ケーブルで繋いでみた。ケーブルはBeldenの1695Aである。ピュア・オーディオ…
実家で使用しているオーディオのメイン・システムのCDプレーヤーが経年劣化で使い物にならなくなり、やむなく買い替えることになった。ところが、ここで困ったことが発生。今まで使用していたプレーヤーはTEACのVRDS-25xという製品で、定価は…
(原題:Relatos salvajes)とても楽しめた。まさにブラック・コメディの快作だ。本国アルゼンチンでは、何と歴代ナンバー1ヒットを記録したらしい。コアな映画ファンは面白がって観るだろうが、とても一般ウケはしないと思われる本作を大々的に受け入れて…
86年疾走プロダクション作品。監督は原一男。公開当時は大きな反響を呼び、国内外で多くの賞を獲得している。とにかく凄いドキュメンタリー映画だ。“感動した”とか“共感した”といったレベルの凄さではない。あまりの衝撃に真っ青になってしまうような問題…
気持ち良く鑑賞出来た。地方発信の映画ながら余計な気負いが無く、よくある話を丁寧に追っていることに好感を覚える。これ見よがしの“仕掛け”に走るよりも、地道に題材を扱った方が“ご当地映画”としては成功する場合があるのだ。 かつてミュージシャンを夢見…
(原題:TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES )90年作品。ここで紹介するのは2014年に製作されたものではなく、90年代に作られたシリーズ物の第一作である。監督はミュージックビデオ界出身のスティーヴ・バロン。 アメリカでは大ヒットした作品というこ…
この題材を塚本晋也監督が手掛けるということで、エゲツない場面がてんこ盛りかと思っていたが、意外に描写は抑制されている。しかし、それによってメッセージ性が薄められているかというと、決してそうではない。理屈やイデオロギー抜きの、戦場の剥き出し…
先日、出張で大阪に行ってきた。昼食時に梅田近辺をウロウロしていてふと目に付いたのが“夏季限定メニュー、ハモ天丼”という看板。これは食べるしかないと思って店に入ったが、ひょっとしてハズレかもしれないという心配は結果として無用に終わった。早い話…
出来の良さにびっくりした。福岡市西区にある能古島を舞台にした地方発信の映画だが、同じく以前福岡県内で製作された“ご当地映画”である「千年火」や「スーパー・ハイスクール・ギャング」といった作品が低レベルであったこともあり、大して期待せずに臨ん…
(原題:Entrapment)99年作品。期待せずに観た映画だが、そこそこ面白かった。ストーリーはそれなりの仕掛けが施されているが、決して無理筋の展開にならないし、不自然に観客に頭を捻らせるようなこともない。また、主演者は映画を最後まで保たせられる…
(英題:Hard to Be a God)全編が汚物と臓物に溢れ、その中を身なりも内面も卑しいような連中が動き回るだけの映画だ。もっとも“見た目が汚いからダメだ”と言うつもりは無い。それなりの映画的興趣やカタルシスが提示されていればイチャモンを付ける筋合い…
(原題:Being John Malkovich)99年作品。スパイク・ジョーンズの監督デビュー作だが、第一作からこれほどの才気を漲らせていたことに改めて驚かされる。国内外で多くの賞を獲得したのも納得出来るような快作だ。 うだつの上がらない人形使いのクレイグは…
雑な映画だ。細田守監督の前作「おおかみこどもの雨と雪」は観ていないが、少なくとも「時をかける少女」や「サマー・ウォーズ」で見せた同監督の才気がここではどこにも見当たらない。では何があるのかというと、いかにも向こう受けを狙った親子愛や家族愛…