元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

適当に選んだ2015年映画ベストテン。

2015年の個人的映画ベストテンを発表する。2015年は個人的事情により後半に鑑賞本数が減り、全ての注目作をカバーしているとはとても言えないが、とりあえず10本選んでみた、 日本映画の部 第一位 恋人たち 第二位 きみはいい子 第三位 0.5ミリ…

「ブレインストーム」

(原題:Brainstorm)83年作品。SFXスーパーヴァイザーのダグラス・トランブルが秀作「サイレント・ランニング」(71年)に続いてメガホンを取った作品で、興行的には成功していないが、アイデアは面白い。もっと評価されて良い映画だ。 ノースカロラ…

「母と暮せば」

出来が悪い。その大きな原因は、主演の吉永小百合にあると思う。彼女が出ていた映画は過去に何十本も観ているが、一度たりとも演技が上手いと思ったことは無い。有り体に言えば、大根なのだ。ところが、若い頃のアイドル的人気が高すぎたせいか、今でも彼女…

雑誌「SCREEN(スクリーン)」について。

近代映画社が発行している映画雑誌「SCREEN(スクリーン)」が、今年(2015年)9月に通巻1,000号を達成したという。創刊は1947年で、1919年に産声を上げたキネマ旬報誌よりは新しいが、それでも相当古いことは確かだ。 前にも書いた…

「007/スペクター」

(原題:Spectre )居心地の悪い映画だ。作品のコンセプトが間違っている。前作「スカイフォール」の出来が良かっただけに、質的な凋落は残念だ。おそらくは次回から装いを一新しての“仕切り直し”になるとは思うが、その際にはシッカリとやってほしい。 「ス…

「コンペティション」

(原題:Competition )80年作品。ドラマとしては物足りないが、全編を覆う音楽の高揚感に心が躍る。観終わっての満足度は決して低くはない。 30歳のポールは、サンフランシスコで開かれる最も権威あるヒルマン・ピアノ・コンペティションに臨んでいた。…

「裁かれるは善人のみ」

(英題:Leviathan )観ていて少しも楽しくない映画だ。もちろん“楽しくないからダメだ”と言うつもりはない。たとえ無愛想なタッチでも求心力さえあれば、最後まで付き合うことは出来る。しかし本作には、娯楽性も観る者を惹き付ける力強さも無い。底の浅い…

「バカヤロー!2 『幸せになりたい。』」

89年作品。森田芳光が総指揮と脚本を担当するオムニバス・ドラマ「バカヤロー!」シリーズの第二弾である。4つのエピソードのうち前半の2つはどうでもいいが、残りの2つは印象深い。特にその頃の時代性をヴィヴィッドに切り取っているあたりは評価した…

「愛を語れば変態ですか」

演劇界の鬼才と言われているらしい福原充則の監督デビュー作。上映時間が73分と短いが、とても長く感じられる。これは映画の段取りが上手くいっていないことを示しており、やはり舞台劇のノウハウをそのままスクリーン上に移設しても良い結果には結び付か…

アナログレコードの優秀録音盤(その4)。

所有しているアナログレコードの中で録音が優秀なものを紹介したい。アメリカのNONESUCHからリリースされていた「中世のクリスマス」というディスクは、往年のオーディオ評論家・長岡鉄男がその著書の中で絶賛していたものだ。演奏はジョエル・コー…

「FOUJITA」

ハッキリ言ってカス。映画として何も描けていないし、そもそも描こうとする意志があるのかどうかも疑わしい。かつては「泥の河」(81年)や「死の棘」(90年)といった秀作を手掛けた小栗康平監督も、今や“ひょっとしたら認知症に罹患しているのではない…

「星くず兄弟の伝説」

85年作品。デタラメな映画だが、今思うと突き抜けた明るさと天衣無縫な作劇が妙に記憶に残っている。まさしくこの時代にしか作れなかった、ライトな和製ロックミュージカルだ。現在ではこういう企画にカネを出すプロデューサーなんか存在しないだろう。 2…

「赤い玉、」

オヤジの妄想が炸裂で、苦笑してしまった。ただし、映画として面白いかというと、そうでもない。ポジティヴな部分が希薄な侘びしい話だし、かといって主人公の惨めさや悩みをリアリズムで追い込んでもいない。何とも中途半端な出来なのだ。 京都にある芸術大…

「Re:LIFE リライフ」

(原題:The Rewrite )中年男女を主人公にした、気の利いたラブコメディだ。御膳立てや筋書きは申し分なく、キャストも万全。しかも手練れの映画ファンの琴線にも触れるモチーフが満載で、最後まで飽きずに楽しむことが出来る。 その昔アカデミー賞を取った…

「ファイヤーフォックス」

(原題:Firefox )82年作品。クリント・イーストウッドの監督兼主演による映画で本当に面白いのは「ガントレット」(77年)ぐらいで、あとは凡作・駄作の山だ。本作の出来もあまりよろしくないのだが、中盤からイーストウッドの作品ではなくSFXスー…

「恋人たち」

本年度の日本映画を代表する秀作だ。橋口亮輔監督・脚本による「ぐるりのこと。」以来7年ぶりの長編作品だが、その間に相当に悩んでいたことが窺えるような内容である。しかしながら、懊悩を克服したような力強さを携えてスクリーン上に復帰したこの作家の…

「パシフィック・ハイツ」

(原題:PACIFIC HEIGHTS )90年作品。ジョン・シュレシンジャーといえば出身国イギリスでいくつかの秀作を撮った後、渡米してアメリカン・ニュー・シネマの一翼を担った監督である。しかし80年代以降はどうもパッとせず、そのままキャリアを終えてしま…

「コードネーム U.N.C.L.E.」

(原題:The Man from U.N.C.L.E. )肩の凝らない娯楽編だと思う。何も考えずにボーッとスクリーンを眺めるにはもってこいのシャシンだ。しかも、元ネタになったTVシリーズと時代背景を変えていないところがポイントが高い。無理に舞台を現代に移した挙げ…

ヴァイオリンとピアノのコンサートに行ってきた。

先日、福岡市早良区にある西南学院大学チャペルで開かれたヴァイオリンとピアノの演奏会に行ってきた。ヴァイオリンは札幌交響楽団のコンサートマスターである田島高宏、ピアノは田島ゆみだ。なお、2人は夫婦でもある。曲目はモーツァルトのヴァイオリン・…

「グラスホッパー」

予想通りの出来。伊坂幸太郎による原作は、私が読んだ彼の小説の中では一番面白い。しかしながら監督が二流の瀧本智行で、脚色が「光の雨」だけの一発屋臭い青島武という、気勢の上がらないスタッフの手による映画化だと知った時点で、先は見えていた。要す…

今年もホークスの優勝パレードを見に行った。

去る11月22日、2年連続で日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスの優勝パレードを見に行った。沿道には35万人が詰めかけ、大変な賑わいだ。 正直、シーズンが始まる前はホークスが優勝するとは微塵も思わなかった。いくら前年に日本一になったチーム…

「アクトレス 女たちの舞台」

(原題:SILS MARIA)同じくジュリエット・ビノシュが主演した「トスカーナの贋作」(2010年)同様、わくわくするような映画的興奮を味わえる。間違いなく本年度のヨーロッパ映画の収穫のひとつで、本当に観て良かったと思える逸品だ。 ベテラン女優マリ…

「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」

2001年東宝作品。本作は封切り当時に映画好きの仲間達と徒党を組んで観に行ったのだが、冒頭の“数年前にゴジラに酷似した怪獣がアメリカを襲ったが、日本の関係者はそれをゴジラだとは認めていない”とのナレーションに大笑いしたのは我々のグループだけ…

「エール!」

(原題:La famille Belier )作り方を間違えている映画である。この設定においてドラマが一番盛り上がる点は何か、そこへたどり着くまでのプロセスはどうあるべきか、そんなことが一切考慮されていない印象を受ける。シチュエーションだけで満足しているよ…

「ジャグラー ニューヨーク25時」

(原題:Night of The Juggler)79年作品。この頃はいわゆる“ハリウッド製のアクション大作”というのは影を潜めていたように思う。かき入れ時のシーズンにスクリーンを飾るのはSFやアニメーションで、アクション映画が復権するのは80年代末の「ダイ・…

「岸辺の旅」

ごく一部分を除いて面白くない。第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門において黒沢清は本作で監督賞を受賞したが、彼のフィルモグラフィの中でも質の面では“真ん中より下”に位置するだろう。とにかくこの要領を得ない展開には、脱力せざるを得ない。 …

祝! ブログ開設10周年。\(^o^)/

このブログを始めたのが2005年の11月17日。早いもので、あれから本日で10年経ったことになる。自分でもこれだけ長期間続くとは思っていなかったが、日頃の努力というよりも惰性で続けてきたことが大きいのであろう。 開設当初の“読者”の数は十数名…

「新宿純愛物語」

87年東映作品。これを観た時は、後世にカルト映画として語り継がれるかもしれないと思ったものだ。決して出来の良い映画ではない。それどころかドラマツルギーもへったくれもない無茶苦茶な作りで、監督もキャストもヤケクソになったとしか思えない惨状だ…

「ヴィジット」

(原題:THE VISIT )内容云々よりも、どうしてこの監督(M・ナイト・シャマラン)が十数年間にも渡ってハリウッドの第一線で仕事が出来るのか、そっちの方が興味がある。よほど強力なコネでも持っているのか。あるいはお偉い連中の何か“弱み”でも握ってい…

国東半島に行ってきた。

先日、大分県の国東半島に行ってきた。私は若い頃に一度訪れたことがあるが、その時は海岸沿いのコースを取って磯遊びに興じたものだ(笑)。今回は内陸部の寺を巡ってみた。なお、同行した嫁御は国東半島自体に行くのは初めてらしい。 周防灘に丸く突き出し…