元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「フェアウェル」

(原題:THE FAREWELL)まあまあ面白かった。興味深いネタは扱っているが、それほど突っ込んだアプローチは成されていない。観ている者が重苦しい気持ちにならないように、ほどほどのレベルに留めている。だから出来の方も“ほどほど”なのだが、語り口は悪く…

「火宅の人」

86年作品。御存知檀一雄の私小説とされる有名な原作の映画化だが、文芸的香りは見事なほど希薄である。代わりに何があるのかというと、全編に渡って展開されるアクションだ。たたし何も派手な活劇シーンがあるわけではない。登場人物の佇まいと言動が、こ…

「行き止まりの世界に生まれて」

(原題:MINDING THE GAP )ドキュメンタリー映画であるにも関わらず、まるで優れた劇映画のようなエクステリアと味わいを持ち合わせた逸品であると思う。第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門をはじめ第71回エミー賞ドキュメンタリー部門とノン…

「スローなブギにしてくれ」

81年作品。正直言って出来自体は大したことがないと思う。しかし、この時代の空気感はよく出ていた。東映と角川春樹事務所による製作で、東映洋画が配給したものだが、当時は隆盛を誇っていた角川映画の中では配給収入は振るわず、何とか製作費を回収した…

「はりぼて」

これは面白い。深刻なテーマを扱っていながら、アプローチに関してはフットワークが実に軽い。劇場内では笑いさえ起こったほどだ。また、そのライト感覚が素材の重要性をより浮き彫りにする。先日観た大島新監督の「なぜ君は総理大臣になれないのか」と並ぶ…

「監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影」

(原題:THE SOCIAL DILEMMA)2020年9月よりNetflixにて配信されているドキュメンタリー映画。内容は題名の通りで、SNSがもたらす利点と共に、大きな問題点について言及している。そのアプローチには既視感があるし、ドラマ(フィクション)…

「最後の追跡」

(原題:HELL OR HIGH WATER)2016年11月よりNetflixにて配信。第89回米アカデミー賞の作品賞候補であるにも関わらず、日本での一般公開が見送られた作品だが、ネット経由ながらこうして鑑賞出来るのは有り難い。内容は見応えがある。現代版…

「TENET テネット」

(原題:TENET )クリストファー・ノーラン監督作としては、前回の「ダンケルク」(2017年)に続いての失敗作だ。とにかく“何か思い切ったことをしたい”との気持ちだけが空回りし、肝心の作劇が疎かになり娯楽映画としての体裁を欠いている。作者として…

「シチリアーノ 裏切りの美学」

(原題:IL TRADITORE)イタリア製のギャング・ストーリーなので、血で血を洗う抗争劇とキレの良いアクション場面の連続かと期待していたのだが、それはあっさりと裏切られる。もちろん、非情な悪者どもの跳梁跋扈は見られるが、実話を基にしているだけに娯…

雫井脩介「望み」

堤幸彦監督による映画化作品は観る予定は無いが、原作者がけっこう面白かった「火の粉」の雫井脩介なので、この原作小説に関しては楽しめるかもしれないと思って手に取ってみた。しかし、その期待はあっさりと裏切られる。これはつまらない。サスペンスにし…

「真夏の夜のジャズ」

(原題:JAZZ ON A SUMMER'S DAY)1959年製作の映画だが、映像をブラッシュアップした上で今年(2020年)にリバイバル公開された。私は本作を観るのは初めてながら、音楽ドキュメンタリーの秀作と言われているだけあって、見応えがあると感じた。ミ…

「パーフェクト・デート」

(原題:THE PERFECT DATE)2019年4月よりNetflixにて配信。お手軽な学園ラブコメものだが、けっこう考えさせられる点もあって鑑賞後の印象は悪くない。設定は興味深く、各キャラクターは十分“立って”おり、しかもイヤな奴が一人も出てこないの…

「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」

監督の山崎エマはニューヨークを拠点に活動する映像作家で、彼女が海外向けに日本の高校野球を紹介するために作ったドキュメンタリーである。その意図はほぼ達成されているが、深くは掘り下げられていない。しかし、この場合はそれがさほど欠点にはなってい…

「喜劇 愛妻物語」

一応、最後まで退屈せずに観ることは出来た。笑えるギャグもあった。しかしながら、釈然としないものが残る。他人のノロケ話に無理やり付き合わされたような、そんな違和感を覚えてしまう。「百円の恋」(2014年)などの脚本家兼監督の足立紳による自伝…

「アンカット・ダイヤモンド」

(原題:UNCUT GEMS)2019年製作で、2020年1月よりNetflixにて配信された犯罪ドラマ。通常、映画は最初の10分間を観れば評価に値するかどうかは分かる。最初からテンポを掴めない作品が、途中から盛り返すケースはあまりない。しかし本作…

「宇宙でいちばんあかるい屋根」

つまらない映画だ。観る前は青春ものかホームドラマだと思っていたのだが、蓋を開けてみると私の嫌いなファンタジー映画だということが分かり、大いに盛り下がった。もちろん良く出来ていれば文句は無いのだが、中身はこの手の映画にありがちな“ファンタジー…

「mid90s ミッドナインティーズ」

(原題:mid90s)たぶん90年代にティーンエイジャーだった観客(それも一部)ならば、大いにウケるのだろう。しかし、そうではない者(私も含む)にとっては、どうでもいい映画である。ドラマ自体に見せ場に乏しく、盛り上がりも無い。各キャラクターもそ…

「プロジェクト・パワー」

(原題:PROJECT POWER )2020年8月よりNetflixにて配信された、SF(?)アクション編。設定は目新しくはないし、その設定自体も作劇に活かしているとは言い難い。予算が少ないのか、観たいと思っていた活劇場面は適当なところで切り上げられ…