元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

2007-01-01から1年間の記事一覧

「4分間のピアニスト」

(原題:Vier Minuten)かなりの求心力を持った映画だと思う。主人公は、ピアノ一筋に生きて昔はフルトヴェングラーからもその才能を認められたほどの腕前だったが、気が付けば家庭を築くなどの人並みの幸せを掴めないまま老境に至ってしまった女性ピアノ教…

「時の輝き」

「恋空」を観て思い出したのがこの映画だ。95年作品。監督は後に「釣りバカ日誌」シリーズなどを手掛けて松竹の代表的な職人監督になる朝原雄三で、これがデビュー作になる。とにかく「恋空」と同じくティーンエージャーの男女同士の恋愛編で、難病ネタも…

「恋空」

新垣結衣は“女優”の域には達していない。今のところ“単なるアイドル”だ。前回の「恋するマドリ」は一応主演だったものの狂言回し的な役どころで、それほど演技力を要求されることはなかったと思うが、本作のように自分が主役としてドラマを引っ張っていかな…

「僕のピアノコンチェルト」

(原題:Vitus )なかなか痛快な映画だ。12歳の天才ピアニストのヴィトスが主人公だが、彼は上手いのはピアノだけではなく、数学にも科学にも強いオールマイティの異能児である。でも子供の身でありながら飛び抜けた頭脳を持ってしまったことによる悩み(…

モブ・ノリオ「介護入門」

痴呆で寝たきりの祖母を介護するジャンキーでプータローの主人公の生活と意見を、独特の筆致で綴った第131回芥川賞受賞作。介護の現場を知りたいのなら、もっと真摯で感動的な書物はいくらでもあるだろう。ただ、本書は「ラップ調の文体」で介護問題を論…

「カンナさん大成功です!」

(英題:200 Pounds Beauty )映画祭出品作品を除いて、今年唯一映画館で観た韓国映画。そもそもなぜ本作を観る気になったのか、それは原作が鈴木由美子による同名漫画だからだ。もちろん原作は読んでいないが、日本発のネタをどう料理するかほんの少し興味…

「黙秘」

(原題:Dolores Claiborne )95年作品。メイン州の小さな島で、女主人を殺した容疑に問われているメイドのドロレス(キャシー・ベイツ)。20年前彼女の夫が変死を遂げた事件(事故として処理)でもいまだに彼女を疑っている警部(クリストファー・プラ…

「スマイル 聖夜の奇跡」

結局“加藤ローサって可愛いね”という感想しか残らない映画だ(爆)。陣内孝則の監督第二作は、80年代の北海道を舞台に万年負け組の少年アイスホッケーチームが奮起して活躍するという、設定だけならば絵に描いたようなスポ根もの。しかし陣内のことだから…

最近購入したCD(その12)。

またまた最近購入したディスクを紹介します。まず、メロディアスなパンク・サウンドを聴かせる、いわゆる“エモ系”の先駆のひとつと言われたアメリカのバンド、ジミー・イート・ワールドの3年ぶりになる新譜「チェイス・ディス・ライト」。 この手の音は肌触…

「アイ・アム・レジェンド」

(原題:I AM LEGEND )どうしようもない映画である。こんなのが一応“正月映画の目玉”ということになっているのだから、いかにこの冬休みシーズンが不作なのか分かろうというものだ(爆)。 ガンを制圧する画期的な治療法を開発する過程で新種のウイルスが発…

「夕凪の街 桜の国」

近年行き詰まりの感がある佐々部清監督作品にしては出来は悪くないが、不満も残る。昭和33年の広島を舞台に、事務員として働くヒロインが原爆症により非業の最期を遂げる「夕凪の街」と、彼女の姪が父親(「夕凪の街」の主人公の弟)の不審な行動を追いか…

「海は見ていた」

2002年作品。江戸・深川の岡場所を舞台に、遊女たちの群像を描く、黒澤明の遺稿を映画化した人間ドラマ。原作が山本周五郎で脚本が黒澤だから、話自体はもちろん面白い。ただし映画全体としては凡作。何より熊井啓の演出がダメ。 ドラマ運びが平板極まり…

「呉清源 極みの棋譜」

(原題:呉清源 The Go Master)何を描きたいのかよく分からない映画である。昭和初期に弱冠14歳で中国から日本に囲碁留学し、その後伝説的な活躍を見せて“昭和の碁聖”とまで言われた呉清源の伝記映画。とはいっても日本映画ではなく田壮壮監督による中国…

佐々木敏「ゲノムの方舟」

たぶん時事問題に少しは興味を持っているネットワーカーの中には少なからぬ「愛読者」がいるに違いないオピニオン・サイト「週刊アカシック・レコード」の主宰者でジャーナリストの佐々木敏による長編デビュー作。 テロリストグループがジュネーブのWHOビ…

「ブラック・スネーク・モーン」

(原題:Black Snake Moan)扇情的なポスターから受ける“イヤラシ系の映画ではないか”という先入観は裏切られる。これは大きな心の傷を負ったどうしようもない連中の再生ドラマだ。 舞台はアメリカの南部のどこか。カミさんに逃げられて世捨て人みたいな生活…

朝日新聞の“おとぼけ社説”(^^;)。

12年9日(日)付の朝日新聞の社説には笑わせてもらった。お題は「希望社会への提言(7) 消費増税なしに安心は買えぬ」といったもの。 (引用開始) 福祉水準を維持していくと、国と地方を合わせた財政負担が、25年度には06年度より20兆円前後も増…

「アフター・ウェディング」

(原題:Efter brylluppet)けっこう評判になっている映画だが、私は評価しない。監督はデンマークの女流スザンネ・ビアで、私は彼女が過去に撮った「しあわせな孤独」を観ているが、これが愚にも付かない作品。とにかく“あり得ない登場人物たち”が“あり得な…

しばらく休みます。

最近、あまり観たい映画が劇場にかかっていないせいか、新作映画を追いかけるペースが遅くなっています。かといって旧作の感想文や映画以外のネタばかりを書き連ねるのもどうかと思いますので、しばらくブログの更新を控えます。再来週中には書き込みを再開…

「ロスト・イン・ラ・マンチャ」

(原題:Lost in La Mancha)2001年作品。「ローズ・イン・タイドランド」「フィッシャーキング」などの諸作で知られるテリー・ギリアム監督が十年来温め続けて来た企画「ドン・キホーテ」(The man who killed Don Quixote)の撮影がわずか一週間で挫折…

「ニュー・シネマ・パラダイス」

(原題:Nuovo Cinema Paradiso )89年作品。臭いっ!たまらなくクサイ映画である。ということを書くと、この映画を観て感動の涙を流した多くの観客(封切り当時に劇場で観た際、私を除いたほとんどの観客が泣いていた)から石が飛んできそうだが、私はそ…

「モーテル」

(原題:Vacancy )前に「ディスタービア」を“三流ホラー”として片付けたが、これは“三流”ですらない、最低のホラーだ。本作を楽しく観られるようにするには、穴だらけのプロットを一つ一つチェックし、一大“突っ込み大会”でも開いて笑い飛ばすしかないだろ…

「全身小説家」

94年作品。「地の群れ」「明日」などで知られる作家・井上光晴の晩年の姿を追うドキュメンタリー映画で、監督は傑作「ゆきゆきて、神軍」(87年)などの原一男。 で、観た印象だが、期待は半分満たされ、半分は裏切られた、というのが正直なところだ。期…

「ヴィーナス」

(原題:Venus )いわゆる“老いらくの恋”を成就させるためのノウハウが網羅された、なかなか含蓄に富んだ映画である(笑)。 まず、ジジイになってから“若いねーちゃんと仲良くなろう”と思い立っても無駄である。本作のピーター・オトゥールのように、若い頃…

ケン・グリムウッド「リプレイ」

世界幻想文学大賞を受賞したケン・グリムウッドの86年の作品。冒頭、ラジオ局のディレクターである主人公が心臓発作のため43歳で死亡する。しかし気付くと彼は18歳の大学生の自分に逆戻りしていた。彼はもう一度人生をやり直すが、また43歳になった…

「ナルコ」

(原題:Narco )感心するような出来ではないが、ちょっと気の利いた佳作と言えよう。ナルコレプシーという病気で、時と場所を問わず突発的に眠りに落ちてしまう男を主人公にしたフランス製コメディだが、面白いのは“イレギュラーな存在である彼自身と実世界…

「病院へ行こう」

90年作品。典型的仕事人間の若手コピーライター新谷(真田広之)がある晩帰宅してみたら、妻(斎藤慶子)が中年花火職人の如月(大地康雄)を連れ込んで野球ケンの真っ最中。大ゲンカとなった新谷と如月はそのまま階段からころげ落ちて(ここのシーンはス…

「ボーン・アルティメイタム」

(原題:The Bourne Ultimatum)ポール・グリーングラス監督の名人芸が堪能できる一編。思えばこのシリーズの第一作「ボーン・アイデンティティ」はよくあるアクション編の一本としての印象しかない。そこそこ良くできてはいるが、特筆すべき物はあまりなか…

「ペリカン文書」

(原題:The Pelican Brief )93年作品。だいたいジュリア・ロバーツが法学部の学生を演じること自体笑っちゃう。ちっとも頭良さそうに見えないんだから。ともあれ、「ザ・ファーム/法律事務所」の原作者ジョン・グリシャムの小説をアラン・J・パクラ監…

「この道は母へとつづく」

(原題:ITALIANETZ/THE ITALIAN)ベルリン国際映画祭での少年映画部門グランプリ受賞作とのことだが、実話をネタにしたわりには地に足が付いていないような出来だ。 ロシアの片田舎を舞台に、顔も知らない母親を探すために養子に貰われる寸前に孤児院を脱走…

セオドア・ローザック「フリッカー、あるいは映画の魔」

60年代初頭に先鋭的なプログラムを提供する名画座の女主人と知り合った主人公のUCLAの学生が、長じて全米屈指の映画評論家になり、やがて映画を通じて「野望」を達成しようとするナゾの組織の陰謀に巻き込まれてゆくというミステリー。 文庫本で上下巻…