(原題:捕風追影 THE SHADOW'S EDGE)いやはや、凄いものを見せてもらった。ジャッキー・チェン主演のアクション編だが、決して“今さらジャッキー映画かよ”などと軽視することを許さない、極限的にハイ・ヴォルテージな快作だ。141分と、この手のシャシンとしては長尺ながら、一時たりともドラマ運びは弛緩せずに最後まで突き進んでゆく。鑑賞後の気分は上々である。
マカオで頻発する金融機関に対する強奪事件。犯人グループは神出鬼没かつサイバー方面に精通しており、監視システムなど簡単にクリアして犯行に臨む。完全に手詰まりになった警察当局は、窮余の策としてすでに現役を退いた敏腕捜査官の黄徳忠に協力を依頼する。現場復帰した黄は若い精鋭たちとチームを組み、昔ながらの足で稼ぐ捜査術を諄々と説いてゆく。一方、犯罪集団のボスは“影”と呼ばれる元特殊工作員で、部下の若者たちは彼が児童養護施設から引き取って親代わりに育て上げており、かなりの団結力を備えている。果たして、黄と仲間たちは“影”の牙城に迫れるのか。

冒頭の、犯罪者チームの鮮やかすぎる手口に感心していると、引き続き展開する、捜査陣の決死の追跡劇には思わず興奮させられた。黄が伝授するメソッドがことごとく理詰めで感服していると、それを実戦に応用してゆく段取りが実にスリリングで、画面から目が離せない。とはいえ“影”はとっくに引退して良いような年齢で、これは黄も同様。若い世代とはギャップが生じている。これが事件解決の大きなモチーフにもなっているという段取りは、本当に上手い。
まあ、後半の日本人(?)武装集団が出てくるあたりは強引な流れかと思ったが、勢いで乗り切っている。脚本も担当しているラリー・ヤンの演出はスピーディーかつパワフルで、特に活劇場面の盛り上がりは素晴らしい。ジャッキーはもう70歳になるのだが、それが信じられないほどの身体の動きを見せる。対する“影”に扮するのがレオン・カーフェイというのも堪えられない。この2人の格闘シーンは、演じる者たちの年齢を失念するほどの高揚感をもたらす。
ツーシャーにチェイニー・リン、ワン・ツェンウェイ、リー・ジョークンといった若手も実に活きが良い。また、黄の亡き同僚の娘で追跡班の一員である何秋果に扮したチャン・ツィフォンの存在感は大したもので、見かけは完璧なアイドル仕様ながら演技力と身体能力はズバ抜けている。ニコラ・エレナによる音楽も言うこと無しで、チェン・ティエンティエンのカメラが捉えた秘境のようなマカオの風景も実に効果的だ。
そして、香港製の娯楽編には付き物のNG集まであるのには、本当に嬉しくなってしまう。幕切れは続編を匂わせるものだが、パート2が作られれば真っ先に観に行きたい気にさせられる。
(投稿日時 2026/1/5 6:01:13)