元・副会長のCinema Days

福岡県在住のオッサンです。映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ワーロック」

 (原題:WARLOCK )1959年製作の西部劇。監督が「ケイン号の叛乱」(1954年)の エドワード・ドミトリクなので少しは期待したのだが、どうも気勢の上がらない出来だ。凝った構成にしようと画策したあまり、かえってドラマのポイントが見い出しにくくなっている。ウエスタンに付き物の活劇場面も、まるで不発。これでは観ていてストレスが溜まる。

 西部の町ワーロックは、エイブ・マキューン率いるサン・パブロ牧場の暴れ者たちが我が物顔でのさばってたいた。あまりの狼藉ぶりに、赴任した郡保安官補もシッポを巻いて逃げ出す始末。困った町の顔役たちは、名うてのガンマンのクレイ・ブレイズデルを私設保安官として招くことにする。

 たが、彼にはトム・モーガンという怪しい賭博師が腐れ縁のように付きまとっていて、当然のことながらクレイと一緒にやってくる。一方、サン・パブロ牧場のメンバーであるジョニー・ギャノンは、仲間たちの遣り口に嫌気がさしており、町民らの側に付くことを決める。

 モーガンの言動は実に怪しく、どさくさに紛れて気に入らない相手を始末したりするが、彼の行動規範が何なのか最後まで分からない。単なる“得体の知れないキャラクター”に過ぎないのだ。クレイも、何か深刻ぶっているばかりで、首尾一貫した振る舞いは見られない。ならばジョニーはどうかといえば、自分なりの正義感はあるようだし、弟と敵味方に分かれることにも悩んではいる様子だが、優柔不断な態度は隠しようがない。

 観る側にとっては、当然のことながらクライマックスはジョニーとクレイがマキューンの一派との大々的なバトルになることを予想するだろうが、実はそうでもないので肩透かし感が強い。おそらくは作者は善と悪との相克とか、登場人物たちの内面的苦悩とか、あるいは法の支配と民主制とかいった社会派のテイストなどを取り入れて新味を出そうとしたのだと思うが、どうも総花的でドラマの核が形成されない。煮え切らないラストも願い下げだ。

 リチャード・ウィドマークヘンリー・フォンダアンソニー・クインという有名どころを起用しているのに、個性が出せていない。映像面でも見るべきものは少なく、舞台の遠景の合成なんか稚拙で脱力した。ただし、ドロシー・マローンドロレス・マイケルズの女優陣が本当に魅力的だったのは救いではある。

(投稿日時 2025/12/5 6:02:49)